アゲート(瑪瑙)は、特有の縞模様をもつ半透明のカルセドニー(玉髄)の一種です。
古来より世界中で採掘されてきた石です。日本では、北海道(花石めのう)や青森県、石川県で多く産出します。
そのアゲート(瑪瑙)の歴史や伝説など、さまざまな角度から紹介します。

アゲート(瑪瑙)のプロフィール
アゲート(瑪瑙)の由来
一説によるとシシリアにあったアカテス前の由来は、古代ギリシャで シチリア島の川(Achates川) で最初に産出されたことでアゲートの名が付いたとされています。
II アカテス(メノウ、瑪瑙) 人々がまず口にするように、アカテスが見つかったのは、 同じ名前の川の岸辺だという。 この高価な石は、シチリアの川岸を滑るように流れる。
マルボドゥス『 石について』 高橋邦彦 訳 kindle版
※ マルボドゥス『 石について』は、11世紀に書かれた鉱物誌。
また、和名の「瑪瑙(めのう)」は、原石の見た目が 馬の脳に似ている ことに由来するといわれています。
アゲート(瑪瑙)は、カルセドニ―類(玉髄)の一種
アゲート(瑪瑙)は、鉱物種 石英の中の塊状結晶鉱物(潜晶質)のグループ(カルセドニー類と呼ばれる)の中で、内部に独特の縞状模様をもつものをいいます。

この縞状模様が直線状であり平行に走っているものは、オニキスと呼ばれます。
縞目がないのに瑪瑙!?
たとえば、出雲石のことが、「めのう(瑪瑙)」と呼ばれることがありす。
良く見ると、縞目もありませんし、半透明でもありません。宝石学の世界では、これは「碧玉」(へきぎょく)と言います。
出雲石の勾玉

また、深緑のものを「碧玉」と呼び、赤色のものを「瑪瑙」と呼んだりすることもあります。
このように、宝石学の分類とは別に「めのう(瑪瑙)」という言葉が使われていることがあります。
代表的なアゲートの種類
アゲートは世界中で産出され、多様な色や模様が見られます。色や模様は産出地や成長条件によって多種多様で、個体差が非常に大きい宝石なのです。
サードオニキス
サードオニキス(またはサードニックス)は、赤白の縞模様をもつものをいいます。サードオニキスは、特別に8月の誕生石に選ばれています。(詳しくは、【8月の誕生石 サードオニキス】の神話と伝説|夫婦の絆と和合の象徴 )
サードオニキスと水晶のブレスレット

ブルーレースアゲート
淡い水色と白のレースのような縞模様が特徴のアゲートです。
ブルーレースアゲート

モスアゲート(苔瑪瑙)
乳白色や透明なアゲート(瑪瑙)の中に、緑色や茶色の鉱物(クローライトや鉄・マンガンなど)が内包され、まるで苔や木の枝の模様に見える天然石です。
モスアゲート(苔瑪瑙)

デンドリティック・アゲート
瑪瑙(アゲート)の中にシダ植物や樹木のような美しい樹枝状結晶(デンドライト)が閉じ込められた天然石です。
モスアゲートとの違いは、モスアゲートが「緑色の苔状」、デンドリティックが「黒や褐色の樹枝状」の風景に見える点です。
デンドリティック・アゲート

ファイアアゲート
褐色やオレンジ系のアゲート(瑪瑙)にリモナイト(褐鉄鉱)などの内包物が混入し、光に反射して炎のような赤、橙、緑の遊色効果を放つ神秘的な天然石です。
ファイアアゲート

アゲート(瑪瑙)は、高僧の胸当ての一つ
瑪瑙(アゲート)は旧約聖書の時代から知られていた石であり、ヘブライ語では「シェボ(שְׁבוֹ)」と呼ばれています。
『出エジプト記』に記される大祭司の胸当て(ホーシェン)に埋め込まれた十二の宝石のひとつが、このアゲートであると考えられています。
イスラエルの十二の部族に名を彫った十二種の宝石が三個ずつ四段に縫い込まれています。
①カーネリアン
『パワーストーン 宝石の伝説と魔法の力』 草野 巧 著 新紀元文庫
②トパーズ
③エメラルド
④ルビーまたはガーネット
⑤サファイア
⑥ぺリル
⑦ヒアシンス
⑧アゲート
⑨アメシスト
⑩ペリドット
⑪オニキス
⑫ジャスパー
※ 大祭司の胸当ての宝石については諸説あります。古代の「宝石名」は
色・見た目・用途で呼ばれていました。しかし、現代の宝石名は 成分・結晶構造で分類されています。またへブライ語原典の曖昧さと翻訳史の影響により、現代の宝石名と一対一で対応づけることはできません。
瑪瑙の石言葉(意味・象徴)
アゲートは古くから お守り石として重宝 されてきました。
その石言葉や象徴は幅広く、代表的なものを紹介します。

健康
瑪瑙は古くから心身のバランスを整える石とされてきました。穏やかな波のような縞模様は、乱れた感情を鎮め、緊張を和らげる象徴といわれます。大地のエネルギーを宿す石として、日々の生活の中で安定した健康を支えるお守りとされてきました。
長寿
幾重にも重なる瑪瑙の層は、長い年月をかけて形成された自然の結晶です。その姿は、積み重なる時間そのものの象徴とされ、古来より長寿の意味が込められてきました。穏やかに、着実に生きる力を授ける石といわれます。
富
瑪瑙は商人や旅人の護符として用いられ、堅実な繁栄をもたらす石と信じられてきました。一攫千金ではなく、努力の積み重ねによる安定した富を象徴します。冷静な判断力を保ち、現実的な成功へ導く守護石とされています。
調和
多様な色と層が美しく共存する瑪瑙は、対立するものを和らげる象徴です。心の揺れを鎮め、人間関係や環境との調和を促すといわれます。内面と外界のバランスを整え、穏やかな状態へ導く石とされています。
アゲート(瑪瑙)の神話と伝説
バプテスマのヨハネを象徴する先駆者の石
イエスの弟子であるヨハネとは、同名の別人であり、バプテスマ(洗礼)のヨハネと言われています。
ヨーロッパの古い伝説によれば、かつての真珠採りたちは、真珠を見つけるためには、アゲート(瑪瑙)の力を借りたといいます。アゲートをロープに結びつけ海に投げ込むと、アゲートは真珠を求めて移動します。
アゲートの動きが止まったところに真珠採りたちは飛び込み、アゲートのある場所まで潜っていきます。すると、真珠が見つかるというのです。
この話から、アゲートはイエスのさきがけ(先駆者)となったヨハネを象徴する石だという伝説が生まれたのだそうです。
つまり、イエス(真珠)の前に必要となるのは、イエスに洗礼を授けるヨハネ(瑪瑙)ということなのです。古代においては、真珠はそれほど価値のある宝石であったのです。
バプテスマのヨハネは、イエスがまだ布教活動をするよりも前にユダヤの荒野で宣教活動をしていました。その頃、ユダヤ人の間にはやがてメシア(救世主)が現われてこの世が生まれ変わるという信仰がありました。
そのため、人々からこのヨハネこそがメシアではないかと尋ねられましたが、ヨハネは首を横に振りこう答えました。
「私はメシアではありません。わたしは荒野で叫ぶ者の声です。私の後から来る方こそが、私よりも力のある方であり、その靴の紐を解く値打ちも私にはありません。」
『洗礼者聖ヨハネの説教』(ピーテル・ブリューゲル画)、ブダペスト美術館
出典 Wikipedia 洗礼者ヨハネ

そこへイエスが登場しました。しかし洗礼というのは、そもそも「今までの人生の中でおかした過ちを悔い改め、神に立ち返る」ことです。神の子として生まれたイエスに洗礼を授けることなど、大それたこととして、ヨハネは、断りました。
しかし、イエスの申し出によりヨハネがイエスに洗礼を授けることとなりました。
参考文献
- 『パワーストーン 宝石の伝説と魔法の力』 草野 巧 著 新紀元文庫
- 『価値がわかる宝石図鑑』 著者 諏訪恭一 発行 株式会社ナツメ社
- 『宝石ことば』 山中茉莉 著 八坂書房
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