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【7月の誕生石】スフェーンの神話と伝説|虹色の輝きの秘密

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スフェーンは2021年、日本の誕生石改訂で7月の誕生石に加えられました。
スフェーンは、ブラウンや橙赤、黄色、黄緑、緑など様々な色をもつ宝石です。
このスフェーンの魅力を紹介します。

なお、スフェーンは18世紀後半に新しい鉱物として認識され、19世紀になって命名された宝石ですので、古代の神話や伝説はありません。また、現時点で確認できる考古学資料には、スフェーン(チタン石)が古代の遺物として出土した例は見当たりません。

スフェーンのプロフィール

スフェーン(くさび石)の名前

チタン石(スフェン) 産地:ブラジル、ミナスジェライス州、カペリーニャ 説明:緑色の結晶(約3.0 x 3.5 cm) 出典:著者が所有者 日付:2005年12月作成 著者:Tom Epaminondas(鉱物収集家)とEurico Zimbres(FGEL/UERJ)

チタナイト
CC BY-SA 2.0 br, リンク

結晶の形が上記写真のような楔(くさび)状なので、ギリシャ語で楔を意味するスフェノス(Sphenos)から宝石名Spheneが作られました。1801年に鉱物学者ルネ・ジュスト・アユイによって提唱され、命名されました。

スフェーンの鉱物名はチタン石(チタナイト)

スフェーンは18世紀末に新しい鉱物として認識され、チタンを含む鉱物であることが明らかになりました。現在では、鉱物名として「チタナイト(Titanite)」が正式な名称として用いられています。

化学式は、CaTiSiO₅であり、珪酸塩鉱物です。

イットリウム(Y)やセレン(Ce)を含むチタン石で赤色を帯びているものをカイルハウアイト
(Keilhauite)、マンガン(Mn)を含み赤色のチタン石をグリーノバイト(Greenovite)と言います。

スフェーンの特徴は分散・複屈折・多色性

スフェーンの特徴は、強い分散(ファイア)、大きな複屈折(ダブリング)と多色性(プレオクロイズム)です。

【スフェーンの分散】

スフェーンは、ダイヤモンドを超える非常に高い分散度(0.051)を持ち、虹色の閃きひらめを放ちます。
宝石の分散とは、光の波長(色)によって屈折率が異なるため、白色光が虹色に分かれて見える現象(プリズム効果)です。分散度は、その色の分かれやすさを示す数値です。

光が三角プリズムを通ると、波長(色)によって屈折率が異なるため、虹のように7色に分かれます。

【スフェーンの複屈折】

複屈折は、光が石の中で2つに分かれるため、裏側のカット面や線の重なりが二重に見えます。
スフェーンの複屈折量は資料によって異なりますが、約0.10~0.135と非常に大きな値を示します。『ジェムストーン百科全書』では0.134とされています。

スフェーンの複屈折は、一つの光が二つに分かれ、重なり合いながら宝石の奥で独特の煌めきを生むのです。

【スフェーンの多色性】

宝石の多色性とは、見る角度や方向を変えたときに、石の色が違って見える性質のことです。
スフェーンは、多色性が強く、見る方向によっては、黄、緑、茶色、黄褐色のように色が変わって見えます。

似たような言葉で、アレキサンドライトに見られるような「変色性」があります。変色性は、光源が変わることで、宝石の見かけの色が変わる現象です。

スフェーンの主な特徴ではないですが、スフェーンの一部には、太陽光(自然光)と白熱灯(人工光)では色が違って見えるものもあります。

自然光では緑色に見えるスフェーンと、人工光では橙色に見えるスフェーン

カラーチェンジ・スフェーン?

インターネット上では『カラーチェンジ・スフェーン』と呼ばれる動画が見られます。「カラーチェンジ」とは、宝石学の世界では、光源が変わることで色が違って見えること(変色性)を指しますが、『カラーチェンジ・スフェーン』という呼び方だけでは、宝石学的な意味での変色性を示すとは判断できません。実際には、「多色性」による色の変化や、「分散」によるファイア(虹色にきらめく)を『カラーチェンジ』と表現している例もあります。



スフェーンの石言葉

スフェーンのリング


スフェーンの石言葉は、

才能の開花  生命力  人脈

です。

才能の開花

スフェーンの強い「分散」によって生まれる虹色の輝きは、内に秘めた才能や個性が外へと現れる姿を思わせます。自分自身の可能性に気づき、それを磨きながら、まだ知らない能力を開花させていくことを象徴する石言葉です。

生命力

黄緑から黄金色まで豊かな色彩を見せるスフェーンは、太陽の光を受けて輝く生命のような印象を与えます。新しいことに挑戦する力や、困難に負けず前へ進む活力を象徴する石言葉として、「生命力」が挙げられます。

人脈

スフェーンの多彩な輝きは、さまざまな人との出会いや交流から生まれる可能性を連想させます。人との縁を大切にし、新たなつながりを広げることで、自分一人では見つけられなかった道が開かれていくことを象徴する石言葉です。



スフェーンは、ダイヤモンドより輝く?

「ダイヤモンドより強い輝きを持つスフェーン」という言葉がインターネットで散見されます。しかし、宝石の「輝き」は、一般に①ブリリアンス(白い輝き)、②ファイア(虹色の閃光)、③シンチレーション(動かしたときのきらめき)など、複数の視覚的効果から成り立っています。一つ一つをダイヤモンドと比較してみます。

①ブリリアンス(Brilliance)

白色光の明るさです。鏡のように白くキラッと光る部分。これは、

  • 屈折率
  • カット
  • 反射率

で決まります。

ダイヤモンドが非常に優れているのはこれです。ダイヤモンドの屈折率は、2.41で群を抜いています。スフェーンの屈折率(1.90〜2.03)も非常に高いのです。ちなみにサファイア(1.76〜1.77)、ジルコン(1.77〜1.98)、エメラルド(1.57〜1.58)です。

② ファイア(Fire)

これは、虹色の閃光です。宝石学では、分散(Dispersion)と呼ばれます。

ダイヤモンドの分散は約0.044であり、ダイヤモンドは白い輝きと同時に、虹色の閃光すが、スフェーンは約0.051です。

つまり、虹色の閃光(分散光)だけならスフェーンの方がダイヤモンドより強いのです。

③ シンチレーション(Scintillation)

石を動かしたときのキラキラした瞬きです。これもカットに左右されます。

複屈折

この複屈折は、スフェーンにはあってダイヤモンドにはないものです。複屈折とは、一つの光が二本に分かれる現象です。スフェーンは、複屈折量0.134と非常に大きいのに対して、ダイヤモンドは複屈折はありません。

スフェーンは、複屈折が生み出す、二重像(ダブリング)のおかげで内部がチラチラモザイク状に見えます。光が二本に分かれるため、ファセットから返る光が複雑になり、結果としてキラキラ感が増して見えることがあります。

まとめ

白い輝きではダイヤモンドが優れていますが、虹色の閃光せんこう(ファイア)はスフェーンの方が強く、さらに大きな複屈折によるダブリングが独特の煌めきを生み出します。



参考文献

  • 『価値がわかる宝石図鑑』著者 諏訪恭一 発行 ナツメ社
  • 『ジェムストーン百科全書』 著者 八川シズエ 発行 中央アート出版社

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