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【2月の誕生石 アメシスト】 その意味と伝説

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 2月の誕生石であるアメシストは、宝石としての歴史がたいへん古いです。 
古代エジプトでは、紫色は高貴な色とされ装身具やスカラベなどに使用されました。 

そのアメシストについて、伝説を中心にまとめました。 

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アメシストのプロフィール

 アメシストの名前の由来

アメシストの語源は、ギリシャ語の「アメテュストス」にあります。 

「アメテュストス」は「酒に酔わない」という意味です。 

ぶどう酒を意味する「メツウ」(メチルアルコールの語源)が、「メタス」に転訛し、その否定形として、「アメテュストス」になったと言われています。 

アメシストは水晶のうちの紫色のもの

 日本では、アメシストのことを「紫水晶」と呼ばれています。 

水晶のうちの紫色や青色系のものを、アメシストと言うのです。色合いによって、水晶の名前が違います。 

  • 紫水晶・・・アメシスト
  • 白水晶・・・ロッククリスタル
  • 黄水晶・・・シトリン
  • 茶水晶・・・スモーキー・クオーツ
  • 黒水晶・・・カンゴーム

世界中で認められた二月の誕生石は、アメシストだけ

誕生石は、国や民族によって様々ですが、その中で唯一アメシストだけ、どこの国でも、2月の誕生石です。誕生石の基になったといわれている新約聖書の中で、新世界の都であるエルサレムの城壁の土台の宝石の中で12番目に飾られています。(古代には、3月から一年が始まっていたので12番目は、2月になります。)誕生石の中でも、誕生月との結びつきが、最も強いというわけです。

アメシストの意味 【 石言葉 】

現代の石言葉は、

誠実   心の平和

 です。

 キリスト教の世界では、アメシストの「酒に酔わない」という意味を、人生の悪酔いを排除したいという聖職者と結びつきました。 

そして、酒に酔わないが、心を平静にするという意味に転化していきました。 

中世ヨーロッパでは、男性の宗教的献身のシンボルとされ、「司教の石」として高僧の指に嵌(は)められるようになりました。 

そういうことを動機として、アメシストの石言葉が生まれたのです。 

アメシストの伝説

 アメシストの原石 

古代ローマでのアメシスト

 古代ローマ時代には、イナゴの害や有害な魔術を防ぐと信じられていました。 

プリニウスの『博物誌』には、当時多くの人が、「ウェヌスのまぶた」(ビーナスの瞼)と呼んでいたことが書かれています。 

バッカスとアメシストの神話

 インターネット上では、ギリシャ神話として載っていますが、正しくは16世紀に書かれたフランスの詩人レミ・ベローの創作神話です。

ギリシア神話に登場する「ディオニューソス」、ローマ神話では、「バッカス」という名になっています。 

バッカスは、豊穣とブドウ酒と酩酊の神です。ゼウスという神と人間のセメレーの間に生まれました。(これはギリシャ神話に書かれています。)

 バッカスはいたずらが過ぎて、神々をハラハラさせていました。 

バッカスは、自分の家来のバッケーたち(豹の姿で酔いしれて善悪の判断が効かない猛獣)のことで、神々たちから強く叱られました。 

バッカスは叱られた腹いせに、パッケーたちに命令します。 
「これから出会う最初の人間を食いちぎってしまえ」と。 

ちょうど、月の女神(ディアナ)の神殿に仕えるニンフのアメシストが、通りかかります。
 ※ニンフ・・・精霊

アメシストに獰猛なバッケーたちがいっせいに襲いかかります。 

その時、「ディアナさま─っ!」とアメシストが叫ぶと同時に、アメシストはみるみる小さくなり、あっという間に透明な石となってしまいました。 

ディアナがアメシストを救うために、水晶に変身させたのです。 

バッカスはアメシストの水晶のあまりの美しさに呆然と立ち尽くし、自分の犯した罪の深さに震えたのです。 「未来永劫、私のぶどうの実りはアメシストへの懺悔になろう。」 

バッカスは、透明な水晶にぶどう酒を手向けながら叫びました。
すると、どうでしょう。透明な水晶は、ぶどう色に染まり、この世で一番美しい紫色したアメシストになったのです。 

正気に戻ったバッカスの懺悔により、その家来のパッケーたちも酔いから覚めて、ぶどう酒作りに真面目に専念するようになりました。 

バッカスの行くところ、酒と豊穣の実りがあり、人々に喜ばれるようになりました。 

石になったアメシストは「信仰心のシンボル」になったのでした。 

『狭き門』 アリサの胸を飾ったアメシストの十字架

フランスの作家アンドレ・ジッドの小説『狭き門』の登場人物アリサは、小さなアメシストの十字架を首にかけていました。

これもまた、アメシストが彼女のひたむきな信仰心を象徴したものといえるでしょう。

主人公ジェロームは12才にも満たない頃父親を失い、叔父のもとで暮らします。

その家に住んでいる従姉じゅうしのアリサはジェロームよりも二つ年上です。妹のジュリエットは一つ年下でした。
ジェロームは、アリサに惹かれていき、愛するようになります。

アリサもまたジェロームを愛しているけれど、彼女の妹のジュリエットもまたジェロームに好意を抱いていました。

けれども後に、妹ジュリエットはアリサとジェロームが相思相愛なことを知ってと他の人と結婚します。

しかし、アリサは彼と愛し合うことを捨てキリストへの愛のために生きようとします。そのために彼女は苦しむのです。

それはある不幸な体験が影響していると考えられます。


彼女の母は、父の留守中に若い浮気相手を家に連れ込んでしまうような女性で、ある時、突然その男と駆け落ちをして消えてしまったのです。

途方にくれるアリサに、牧師はマタイの福音書の言葉である「力を尽くして狭き門より入れ」を引用して語るのです。

神の救いを得るためには、困難な道を歩んでいくべきだ、それ相応の努力をする必要があることを指す言葉です。

やがて、アリサとジェロームは成長し、お互いの愛がはっきり感じられるようになりますが、アリサはよけい苦しむようになっていきます。

高等師範学校で学ぶためにパリにいたジェロームが、休暇でフォングーズマールにあるアリサの家に滞在することになりました。アリサに気づかって彼は言いました。

「ねえ、アリサ。今日から十二日間の休暇なんだ。でも君が嫌だというのなら、一日だって余計にいない。〝明日、フォングーズマールを立ってほしい〟と知らせるために、何か合図を決めておこうじゃないか。そうしたら、その翌日にはなにひとつ文句を言わずに出発する。どうだろう?」

「夕方、食事に降りる時、あなたの好きなアメシストの十字架を首にかけていなかったらということにしましょう。」

そして、数日後、夕食時に彼女がアメシストの十字架をしていないのを見るや、ジェロームは翌朝何も告げずに家を立ち去りました。

それから三年後、ジェロームは、彼女に対する愛を告白するが、断られてしまいます。
数ヶ月後、アリサは地上の愛や幸福を拒絶し、苦悩の果てに、診療所で亡くなってしまうのでした。

参考文献

  • 『宝石ことば』    山中茉莉 著 八坂書房
  • 『パワーストーン 宝石の伝説と魔法の力』 草野 巧 著 新紀元文庫
  • 『ギリシャ神話』 ジェームス・ボールドイン 著 杉谷代水 訳 富山房企畫
  • 『指輪が語る宝石歴史図鑑』 諏訪恭一 著 中村淳 写真世界文化社

 

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