琥珀色やコニャック色あるいはレモン色のアンバーは、いわゆる鉱物ではなく、今数千万年前の樹木が出した樹液が地層の中に埋もれ化石化したものです。
また琥珀には、内部に昆虫などが入っているものがあるし、擦ると電気を発生することにより古くから神秘的な石とされ古代から護符として利用されてきました。
このアンバーの神話や伝説などを探ってみましょう。
琥珀のハート形ペンダント

琥珀(アンバー)のプロフィール
アンバー anberの由来
英語のアンバー(anber)という名は、アラビア語で竜涎香(りゅうぜんこう)を意味する〝anbar〟から由来しています。
竜涎香とは、マッコウクジラの腸内から採れる香料の一種です。
実際に燃やすといい香りがするので、ここから宝石の名前になったのです。
ちなみにドイツでは「燃える石」(Bernstein バーンシュタイン)と呼ばれています。
和名 琥珀の由来
日本語の琥珀は、漢語から来ています。中国では、古くは「虎魄(こはく)」と書かれました。
「魄」とは、死後の魂のことで、虎の魂が死後、石になったものが「琥珀」だと考えられていたのです。
アンバーは「樹脂の化石」

マツやヒノキなど松柏科の針葉樹は、樹木が傷つくと樹脂を出して傷を塞ぎます。
アンバーは、数千万年以上前にこのような樹脂が地中に埋もれて化石化したものです。
それゆえ「樹脂の石」とも呼ばれます。
アンバーには昆虫が紛れ込むことある
虫が紛れ込んだアンバー

樹脂の中に、昆虫が紛れ込みそのまま化石になったものもあります。中には、5cmほどのトカゲやカエルが入ったものも見つかっているそうです。
アンバーは非常に軽い
琥珀の比重は、1.08で、同じく有機物である真珠2.70や珊瑚2.65と比べても、非常に軽いと言えます。
アンバーの産地
産地は、世界中にあります。産地のほとんどは海岸近くです。
比重が真水より重く、海水より軽いことから荒天時に海岸に流れ着くからです。
宝石として市場にでているものは、バルト海沿岸とドミニカ共和国です。バルト海沿岸の中でも、ポーランド・グダニスク沿岸とロシア・カリーニングラード州だけで世界の琥珀の85%を産出しています。
ドミニカ共和国ではブルーアンバーが採れます。
日本では、アンバーは岩手県久慈市の名産品です。
アンバーの歴史
ヨーロッパでは約1万年前の旧石器時代の遺跡からアンバーの装飾品が出土しており、いかに古い宝石であるかを示しています。
ギリシャ神話では、太陽神ヘーリオスの娘ヘーリアデスが流した涙が、アンバーの石になったとされており、アンバーの色合いから、「太陽の石」とされていました。
1世紀の古代ローマのプリニウス『博物誌』では、「エレクトルム」と書かれていました。
・ギリシャ人たちは太陽を「エレクトン」と呼ぶ。エレクトンは太陽のホメロス名であり、黄金色に「輝くもの」の意。
プリニウス『博物誌』
・リュンクリウム(リュンクス「山猫」の小便)とも呼ばれる。
・激しい精神錯乱の発作や排尿困難の治療に効果がある。
・発熱や病気を癒す。粉末にして蜂蜜と混ぜたものは弱視を治し、細かい粉末に水を入れて飲むと胃すら治す。
・幼児の護符。
日本でのアンバー
5世紀の古墳時代には、アンバー製の勾玉や装身具が出土します。岩手県久慈産のアンバーが広く流通しており、玉類の材料として活用されました。
江戸時代には、アンバーが、細工物の他に、お香、線香、塗料としても使用されました。
明治・大正時代には、船舶等のサビ止め塗料としても需要があり、昭和に入ってからは、レーダーの絶縁体開発をはじめ、軍艦の塗料にも使用されました。
アンバー(琥珀)の意味 【石言葉】
アンバーの石言葉は、
長寿 幸福 精神の浄化
です。
長寿
太古の樹脂が長い歳月を経て固まったアンバーは、「時間そのもの」を象徴する宝石なのです。そのため「健康と長寿をもたらす守り石」とされてきました。
ペルシャには、国王は天から落ちてきたアンバーを身につけていて、国王に不死身の力を与えているという伝説がありました。心身の弱りを癒し、活力を取り戻すエネルギーがあると考えられています。
幸福
アンバーの暖かな色合いは「太陽の光」を象徴し、心に安らぎと喜びをもたらすといわれます。
古代から幸運の護符として身につけられ、家庭円満や人間関係の調和を導くと信じられてきました。不安をやわらげ、前向きな気持ちを引き出して幸福へ導く石とされています。
精神の浄化
樹脂が不純物を包み込んで固まる性質から、アンバーには「悪い気を吸収し浄化する力がある」と考えられてきました。
心の中の不安や迷いを和らげ、澄んだ思考へ導くとされます。精神を落ち着かせ、穏やかな状態を保つサポートをしてくれる石です。
アンバー(琥珀)の神話と伝説

太陽の女神たちの涙
太陽神ヘリオスは、東の果ての館に住み、朝が来るたびに四頭立ての炎の馬車に乗り天空を駆けておりました。
そんなある日のこと、ヘリオスの息子パエトーンが父の代わりに炎の馬車を操って天句を駆け巡りたいと申し出ました。
ヘリオスは悩んだけれど、息子可愛さに、それを許し馬車の操り方をていねいに教えて出発させたのです。
最初はなんとか馬を操っていましたが、しばらくすると馬が暴れだしまた。すると、炎の馬車は本来の軌道を大きく外れて、高く飛んでは天を焦がし、低く飛んでは地上を焦がし、この地球全体が大火事に見舞われることになってしまったのです。
パーエトンには、もう手に負えず、どうすることもできません。
このままでは、世界中が燃え尽きてしまいます。
これを見た大神ゼウスは、止むを得ず、電撃を発しパーエトンを打ち落としました。パーエトンは、馬車もろともエリダノス川に堕ちて亡くなったのです。
パーエトンの妹である三柱の太陽の女神たち(ヘーリアデス)は、兄の変わり果てた姿を見て、涙を流しました。
いつまでもその場所を立ち去ることをしないで、来る日も来る日も泣き続けます。

そうするうちに、女神たちの足は根になり身体はポプラの木になり、手は枝となりました。しかし、それでも女神たちは泣き続けたのでした。
女神の涙は、エリダノス川に流れ落ち、太陽の光で硬くなり、ついにはそれがアンバーになったのです。
このようにして、エリダノス川にアンバーの石が流れ着くようになったのだといいます。
参考文献
- 『パワーストーン 宝石の伝説と魔法の力』草野巧 著 新紀元社 発行
- 『価値がわかる 宝石図鑑』 諏訪恭一 著 ナツメ社 発行
- 『宝石言葉』 山中茉莉 著 八坂書房 発行
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