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【12月の誕生石 タンザナイト】の神話と伝説|発見の歴史と創られた伝説

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タンザナイトは2021年、日本の誕生石改訂で12月の誕生石に加えられました。
他の12月の誕生石には、トルコ石(ターコイズ)、ラピスラズリがあります。

このタンザナイトは1960年代に発見されたため、古代から伝わる神話や伝説はありませんが、様々な新しい伝説に彩られています。

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タンザナイトのプロフィール

タンザニアで発見されたので タンザナイト(Tanzanite)の名前が付いた

1967年、アフリカの東南に位置するタンザニアのメレラニ地方で、透明度が高い鮮明な紫色から青色をした結晶のかたまりが偶然に発見されました。

ティファニー社(Tiffany & Company)は、タンザナイトの国際的な販売の可能性を認め、主要な販売業者になる契約をしました。そして、ティファニー社は、その石を産出した国名にちなんで「タンザナイト」(Tanzanite)と名付けました。

1970年代のティファニーの広告では、シマウマが草を食む写真の背景にタンザナイトの指輪が並べ、「2000年以上ぶりに発見された最も美しい青い宝石、タンザナイトは現在、世界でたった2か所でしか大量に産出されません。タンザニアとティファニーです」と、この宝石を世界へと紹介しました。

タンザニア連合共和国はどこ?

タンザナイトは、タンザニアでしか産出しない 希少な宝石

タンザナイトは、鉱物名ゾイサイトの青色から青紫色の変種で、現在、宝石品質のものが産出することが確認されているのは、タンザニア北部のメレラニ地域だけです。

タンザナイトが採掘されるメレラニ地方は、キリマンジャロの麓

タンザナイト(Tanzanite)の鉱物名はゾイサイト(Zoisite)

タンザナイトの原石

タンザナイトは、鉱物名:ゾイサイト(Zoisite)(和名:灰簾石かいれんせき / 黝簾石ゆうれんせき))のひとつです。

ゾイサイトの名前はどこから?

スロベニアの自然科学者ジグムント・ゾイス(Baron von Zois)に因んでいます。1805年、鉱物学者ウェルナーが、鉱物研究を支援したジグムント・ゾイスにちなんでゾイサイトと命名しました。

ゾイサイト(Zoisite)は、ケイ酸塩鉱物の一種で、化学組成は Ca₂Al₃(Si₂O₇)(SiO₄)O(OH)です。灰色、青色、緑色、ピンク、紫色、イエローなど多彩なカラーを持つ鉱物です。

タンザナイトは、タンザニアでしか産出しませんが、他のゾイサイトの石は、オーストリアやパキスタン、ノルウェー、アメリカなど、世界各地で産出します。

タンザナイト以外の石の名として、不透明なピンク色のチューライトや、不透明な緑色のアニョライトがあります。

タンザナイト (Tanzanite)・・・ 透明な青~青紫色のもの

グリーンゾイサイト (Green Zoisite)・・・ 透明な緑色のもの

チューライト (Thulite) ・・・不透明なピンク色のもの

アニョライト (Anyolite)・・・ 緑色のゾイサイトを主体とし、赤色のルビー(コランダム)や黒色の角閃石を伴う岩石。「ルビーインゾイサイト」とも呼ばれ、緑色のゾイサイトと赤いルビーの対照的な色合いが特徴。アニョライトという名称は、タンザニアのマサイ語で「緑」を意味する言葉に由来する。

アニョライト

タンザナイト(Tanzanite)は多色性が強い 【三色性】

タンザナイトは、宝石のなかでも特に強い多色性をもつことで知られています。多色性は、見る角度や結晶の方向によって色が違って見える性質のことです。
結晶を異なる方向から見ると、赤紫、濃青、黄緑といった異なる色合いが観察できます。

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タンザナイトの石言葉

タンザナイトの首輪


タンザナイトの石言葉は、

① 冷静  ② 知性  ③ 高貴

です。

① 冷静

タンザナイトの青紫色の落ち着いた輝きにちなんだ石言葉です。感情に流されず、物事を静かに見つめ直し、冷静な判断を促す宝石として表現されています。

②知性

タンザナイトの深みのある青紫色から知性や洞察力を象徴する石言葉です。物事の本質を見極め、新しい知識や考え方を受け入れる力を表しています。

③高貴

青紫色が古くから気品や威厳を感じさせる色とされてきました。タンザナイトの神秘的な色合いと華やかな輝きにふさわしい石言葉です。

もしや20世紀のマーケティングによって造られた?タンザナイト伝説

アフリカ大陸最高峰、キリマンジャロ山の氷河 マチャメルート

タンザナイトの発見者をめぐる諸説

多くの人に知られている説では、1967年7月にアリ・ジュウヤワツ(Ali Juuyawatu)という地元のマサイ族の男がキリマンジャロ山の近くで透明な青い結晶を見付けたのが最初と言われています。彼はその発見を、当時その地域で活動していた地元の宝石探鉱者、マヌエル・デ・ソウザ(D’Souza)に伝えたということになっています。

また、その宝石探鉱者マヌエル・デ・ソウザ自身が、1967年7月7日に発見したという説もあるようです。

しかし、タンザニア政府によれば、この宝石を発見したのはメル族のジュマンネ・ムヘロ・ンゴマ(Jumanne Mhero Ngoma)であり、1984年には発見に対する表彰状が授与されています。(THE TANZANITE EXPERIENCE より)

THE TANZANITE EXPERIENCE によれば、〝2019年1月30日に亡くなる前の2018年、第5期政権はンゴマ氏をさらに称え、ジョン・ポンベ・マグフリ大統領から4万4000ドルの賞金が贈られた。マグフリ大統領は彼を「長らく忘れ去られ、顧みられてこなかった国民の英雄」と呼んだ〟としています。

またジュマンネ氏が発見後、〝ドドマにある政府研究所で検査が行われ、政府地質学者のイアン・マクラウド氏によってゾイサイト鉱物であることが確認された。〟とも書かれています。

他 参考 Wikipedia ジュマンネ・メロ・ンゴマ

落雷による大自然の奇跡という伝説

タンザナイトの発見にまつわるエピソードとして、このような話があります。
乾季のタンザニアで激しい落雷があり草原が大規模な火災が発生しました。
火が消えた後、マサイ族の男性が、焼けた草原の地面にいまだかつて見たこともない鮮やかにきらめく青紫色の結晶を発見したという話です。

さらに、この火災の熱によって、もともと褐色だったゾイサイトが青色に変化したという説明もされます。確かに天然のタンザナイトの多くは、ブラウンやグレーがかった色をしており、これに 500℃〜600℃の熱が加えると、美しいブルーやバイオレットへと変化します。

このような雷がタンザナイトという恵みをもたらしたというドラマチックな話が流布されているのです。

オーストラリア国立大学出版局(ANU Press)の2018年刊行書籍に、キャサリン・C・ドナヒューによる『タンザナイト:商品としての虚構か、それとも商品としての悪夢か?』という論文があります。
ドナヒューの論文では、雷による草原火災の話を、インターネット上に広まった伝説として紹介しています。

真偽はわかりませんが、発見時に実際に火災があったことを裏付ける確かな史料は確認できないのです。

マサイ族には、子どもが生まれた女性にタンザナイトを贈る習慣がある

ドナヒューの論文からの引用です。宝石商のタンザナイト・ギャラリー(2007)などのウェブサイトに書かれていた内容です。これは現在の宝石商のサイトでも良く見かけます。

近年のマサイ族の伝承によると、タンザナイトの破片は、マサイ族の首長が赤ちゃんの誕生に際して妻に贈られ、その子に健康で安全、そして幸せな人生がもたらされるように祈願するものだったという。彼らの慣習によれば、新しい命という奇跡に恵まれた女性だけが、青色のビーズや衣装を身に着ける栄誉を与えられる。

1967年に発見されたタンザナイトですが、この習慣が発見以前から存在したものなのか、それとも発見後に広まったものなのかは明らかではありません。また、伝統的に青い石を身につける習慣があったとしても、それがタンザナイトを指していたとは限りません。

この習慣の真偽は、定かではありませんが、ドナヒューの論文には、

タンザナイト財団は、2006年にタンザナイトのマーケティングキャンペーンを開始し、特に「出産祝い」市場、つまり出産を終えたばかりの女性への贈り物市場をターゲットにした(Colored Stone 2005)。

とあります。

また、

タンザナイト財団のウェブサイトの画像ギャラリーには、青い服を着たマサイ族の女性が赤ちゃんを背負い、赤ちゃんの頭のすぐ上に大きなタンザナイトのネックレスを首にかけている写真が掲載されていた(TanzaniteOne 2008)。

ともあります。

映画『タイタニック』の「碧洋のハート」とタンザナイト

1997 年のタイタニックのネックレス「碧洋のハート」のレプリカ。

Heart of the Ocean replica

By User:Josh vergara – File:Heart of the ocean necklace2.jpg, CC BY-SA 4.0, Link

1997年の映画『タイタニック』に登場する重要なアイテムである、青色のネックレス『碧洋のハート』です。スミソニアン博物館(スミソニアン自然史博物館)に所蔵されている、世界的に有名な大型のブルー・ダイヤモンドである「ホープ・ダイヤモンド」がモデルとなっています。

しかし、撮影の小道具(プロップ)として使われた素材は、ブルーダイヤモンドではなく、ホワイトゴールド(または白金メッキ)の土台に、ハート型にカットされた青いキュービックジルコニアをはめ込んだものです。映画のプロダクション・デザイナーであるピーター・ラモントが、イギリスの老舗宝飾店 Asprey & Garrard に依頼して制作させました。

ところが、映画公開後、なぜかタンザナイトを映画の宝石と結びつけて紹介する広告やインターネット上の記事が見られます。

映画の人気を受けて、現在でも「碧洋のハート」をモチーフにしたキュービックジルコニアやサファイアを使ったレプリカやアクセサリーが多数販売されています。

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まとめ

タンザナイトは、1967年に発見された極めて新しい宝石です。しかしながら、マーケティングの過程で、バイヤーやメディアの間でPRストーリーとして造られた伝説の可能性もあると思われます。

参考文献

  • 『価値がわかる宝石図鑑』著者 諏訪恭一 発行 ナツメ社
  • 『ジェムストーン百科全書』 著者 八川シズエ 発行 中央アート出版社

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