ペリドットの指輪

 

 

ペリドットは、オリーブグリーンの美しい宝石です。暑い夏に清新なイメージがぴったり合う宝石です。イギリスやドイツでは、鉱物として、オリヴィン(olivine)と呼ばれていました。それはオリーブ色をしているからです。しかし、アメリカではクリソライト (Chrysolite)と呼ばれていました。また、緑色のガーネットも「オリヴィン」と呼ばれており、混乱を招きやすいという理由から、各国で「ペリドット」と共通に呼ぶことに決ったのです。

 

実は、古代から中世にかけてペリドットはトパーズの名で呼ばれていました。(参照【11月の誕生石 トパーズ】その意味と伝説 )つまり、古代でのトパーズの高い賛辞は、ペリドットに向けたものだったということになります。

 

それでは、ペリドットの意味や伝説を探っていきましょう。

 

 

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ペリドットのプロフィール

ペリドットの由来

古くからエジプトで採掘されていたペリドットが、アラビア語で「宝石」という意味の「faridat」に由来するというのが通説です。
また、カンラン石(苦土カンラン石)の中で、結晶化して宝石として扱われるものがペリドットと呼ばれますが、かんらん石が主要構成鉱物である岩石である「かんらん岩」の英名は,ペリドタイト( peridotite )であり、そこから由来するともされています。

 

ペリドットは、橄欖石(かんらんせき)とも日本では呼ばれる

橄欖(かんらん)は、オリーブのことを言います。だから、橄欖石はプリドットのことを言います。しかし、植物学で言うと、オリーブはモクセイ科オリーブ属の常緑樹であり、カンラン科ではありません。

 

「イブニング・エメラルド」の異名をもつ

ペリドットは、19 世紀末頃の夜会の室内照明のもとでも、昼間と変わらない鮮やかな緑色に輝いたため、「イブニング・エメラルド」の異名をもって人気を博しました。

 

ペリドットとトパーズの違い

古代から実際はペリドットだったものが、トパーズと扱われていたのですが、ペリドットとトパーズはどこが違うのでしょう。

 

ペリドット(カンラン石)は、ケイ酸塩の一種で 化学式 (Mg,Fe)2SiO4を持ちます。
トパーズは、化学式 Al2SiO4(F,OH)2を持ちます。
ペリドットの硬度は6.5~7で、トパーズの硬度は8です。トパーズの方が硬く、より耐久性があります。

 

ペリドットはゴールドが最高のパートナー

ゴールド(金)にはペリドットが合うことから、ゴールドとともに細工した物をだとより効果を発揮すると云われていました。それがいつしか、ゴールドでなければ効果がないというジンクスに変化してしまいました。ゴールドとペリドットの結びつきは夫婦のように、相手を相互に輝かせるというジンクスが生まれました。

 

ペリドットのブレスレット

 

 

ペリドットの意味

ペリドットの石言葉

 

ペリドットの石言葉は、

 

  夫婦愛  夫婦の幸福  豊穣  平和  豊穣

です。

 

夫婦愛

 

マルボドゥス『宝石について』(11世紀)には、トパーズ(実際はペリドット)には、「月を感じ、また煮えたぎる熱湯を鎮めるともいわれている」とあります。中世に書かれた本が、トパーズ(ペリドット)の鎮静作用を表現したものが多いです。カミロ・レオナルドゥス(16世紀)の『宝石の鏡』という本にも「緑色を帯びた金色のトパーズ(ペリドット)は、煮えたぎった湯に投じると立ちどころに冷水になる。したがって、この石は持ち主の色欲を和らげる・・・」などとあります。つまり、持ち主の色欲を和らげる─浮気はしないことを意味します。
ペリドットは、互いを深く理解し尊重し合う「夫婦愛」を象徴する宝石となったのです。結婚生活において心の絆を深め、信頼と愛情を強める力があるとされ、円満な関係を築くお守りとして大切にされています。

 

夫婦の幸福

 

夫婦間の愛情と絆が調和し、日々の暮らしが穏やかで満ち足りたものとなるよう導くとされます。一貫して家族の幸せを願う人にとって、心を和ませる優しい力を持つと信じられています。

 

平和

 

中世ドイツの神秘家ヒルデガルトは、この石を常に携帯している人は、知能が強化され、優秀な知能と技能を持っている人はこの石を心臓の上に当てていると知能や技能が失われるのを防いでくれると言っています。つまり、ペリドットは、知恵と分別を与えてくれる石なのです。知恵や分別を与えてくれるペリドットは、争いや不安を鎮め、心に安らぎをもたらすのです。人間関係の調和を促し、穏やかな環境を築く力があるとされ、世界や家庭、心の中に「平和」をもたらす象徴とされています。

 

安心

 

この石は心を落ち着かせ、前向きな思考へと導いてくれます。不安やネガティブな感情を和らげ、「安心」できる気持ちや環境を育むとされ、ストレス緩和や癒しを求める人に適しています。

 

豊穣

 

古代ではペリドットは大地の恵みと太陽の力を象徴し、「豊穣」を祈る石とされていました。物質的な豊かさだけでなく、心の豊かさや人間関係の充実をもたらす力があると信じられています。

 

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ペリドットの伝説

トパーズ(ペリドット)で造られたアルシノエ2世の像

 

古代ローマの博物学者プリニウスの『博物誌』(77年頃)に書かれたエジプトのお話です。紀元前3世紀ごろのエジプトは、プトレマイオス2世が王として治められていました。エジプトの王に任命された総督フィロから、トパゾス島からトパーズの塊がもたされ、王の母ペレニケ王妃に献上されました。これがたいへんな大きさのものでした。

 

後に、プトレマイオス2世は、この石で、王妃アルシノエ2世のために、高さ4キューピット(2m)の像を造り、彼女の名から「アルシノエイム」と命名された神殿に奉納したということです。
ちなみにアルシノエ2世は、王の実の姉です。近親婚はタブーではありませんでした。

 

【 参考文献 】

  • 『宝石ことば』    山中茉莉 著 八坂書房
  • 『パワーストーン 宝石の伝説と魔法の力』 草野 巧 著 新紀元文庫
  • 『誕生石の鉱物科学 ― 8月 ペリドット―』 奥山康子 著 GSJ地質ニュース 2012.8  Vol. 1 No. 8 

 

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