2月の誕生石であるアメシストは、宝石としての歴史がたいへん古いです。
古代エジプトでは、紫色は高貴な色とされ装身具やスカラベなどに使用されました。
そのアメシストについて、伝説を中心にまとめました。
アメシストの名前の由来は?
アメシストの語源は、ギリシャ語の「アメテュストス」にあります。
「アメテュストス」は「酒に酔わない」と意味です。
そもそもぶどう酒を意味する「メツウ」(メチルアルコールの語源)が、「メタス」に転訛し、その否定形として、「アメテュストス」になったと言われています。
アメシストは紫水晶
日本では、アメシストのことを「紫水晶」と呼ばれています。
水晶のうちの紫色や青色系のものを、アメシストと言うのです。色合いによって、水晶の名前が違います。
- 紫水晶・・・アメシスト
- 白水晶・・・ロッククリスタル
- 黄水晶・・・シトリン
- 茶水晶・・・スモーキー・クオーツ
- 黒水晶・・・カンゴーム
アメシストの意味 【 石言葉 】
キリスト教の世界では、アメシストの「酒に酔わない」という意味を、人生の悪酔いを排除したいという聖職者と結びつきました。
酒に酔わないが、心を平静にするという意味に転化していきました。
中世ヨーロッパでは、男性の宗教的献身のシンボルとされ、「司教の石」として高僧の指に嵌(は)められるようになりました。
そういうことを動機として、アメシストの石言葉が生まれたのです。
現代の石言葉は、
誠実
心の平和
アメシストの伝説
アメシストの原石
古代ローマでのアメシスト
古代ローマ時代には、イナゴの害や有害な魔術を防ぐと信じられていました。
プリニウスの『博物誌』には、当時多くの人が、「ウェヌスの瞼」(ビーナスの瞼)と呼んでいたことが書かれています。
バッカスとアメシストの神話
インターネット上では、ギリシャ神話として載っていますが、正しくは16世紀に書かれたフランスの詩人レミ・ベローの創作神話です。
ギリシア神話に登場する「ディオニューソス」、ローマ神話では、「バッカス」という名になっています。
バッカスは、豊穣とブドウ酒と酩酊の神です。ゼウスという神と人間のセメレーの間に生まれました。(これはギリシャ神話に書かれています。)
バッカスはいたずらが過ぎて、神々をハラハラさせていました。
バッカスは、自分の家来のバッケーたち(豹の姿で酔いしれて善悪の判断が効かない猛獣)のことで、神々たちから強く叱られました。
バッカスは叱られた腹いせに、パッケーたちに命令します。
「これから出会う最初の人間を食いちぎってしまえ」と。
ちょうど、に通りかかったのが月の女神(ディアナ)の神殿に仕えるニンフのアメシストが通りかかります。
獰猛なバッケーたちがいっせいに襲いかかります。
その時、「ディアナさま─っ!」とアメシストが叫ぶと同時に、アメシストはみるみる小さくなり、あっという間に透明な石となってしまいました。
ディアナがアメシストを救うために、水晶に変身させたのです。
バッカスはアメシストの水晶のあまりの美しさに呆然と立ち尽くし、自分の犯した罪の深さに震えたのです。
「未来永劫、私のぶどうの実りはアメシストへの懺悔になろう。」
バッカスは、透明な水晶にぶどう酒を手向けながら叫びました。
すると、どうでしょう。透明な水晶は、ぶどう色に染まり、この世で一番美しい紫色したアメシストになったのです。
正気に戻ったバッカスの懺悔により、その家来のパッケーたちも酔いから覚めて、ぶどう酒作りに真面目に専念するようになりました。
バッカスの行くところ、酒と豊穣の実りがあり、人々に喜ばれるようになりました。
石になったアメシストは「信仰心のシンボル」になったのでした。
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『ギリシャ神話』 ジェームス・ボールドイン 著 杉谷代水 訳 富山房企畫
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