交差点などの停止中に後続車に追突されるなどの、自分には全く過失のない事故のことを「もらい事故」と言います。
自分はもらい事故は、初めてですが、自分が加入している任意保険の担当者が、代わりに交渉してはいけない法律があり、弁護士特約でも加入していなければ、自分が加害者側の損保会社と交渉しなければなりません。
事故に遭った人しかわからないと思いますが、ぶつけられた側は修理代が全額補償されない場合がよくあります。
古い年式の車に乗っていて、大掛かりな修理が必要な場合に、被害者が自己負担することになりがちです。

 

私も、自腹払って、修理代を払う羽目になりました。

 

 

被害者の私がなぜ60万円を支払って、車を修理しなければならないか?

法的には、加害者は私が乗っている車の時価額を払えば良いとなっています。(厳密に言えば、車の修理代が車の時価額を下回れば、その車の修理代を払えば終わりです。)

 

ここがシロウトの驚くところです。
加害者は、全額修理代を払わなくても罰せられないことになっています。

 

私の周りの人にこの事を話しますが、皆驚きます。

 

私の場合、新車を買って12年間乗っています。
その車両の時価は、20万円以下です。(ここからは仮に20万円とします。)
古い年式の車だったりすると、ぶつけられると、補償される金額が少なくなります。

 

修理代は、約80万円です。つまり、約60万円が、被害者が自分で払わないといけなくなります。
はあ?何にも悪くないのに、自分の金を払って修理するというのが、たいへん不条理です。

 

当然、被害者はこの状態を受け入れがたいのでトラブルになります。

 

だから、最近の任意保険には40万円~50万円の対物超過修理特約が付いています。
つまり、修理代として20万円+50万円=70万円(ここでは超過修理額50万で計算)まで補償されるという話になります。

 

そうなると、80万円−70万円=10万円(仮の金額です)を被害者である私が支払うことになります。
これが現実です。

 

つけくわえますと、この対物超過修理特約というのは、被害者が車を買い換えるのには使えないという問題点があります。
新車あるいは中古車に買い換える場合は、車両の時価である約20万円しかもらえません。

 

甚だ疑問な原状回復の理屈

法律や裁判の世界では、損害賠償の考え方は原状回復です。
しかし、車両の時価額20万円をもらったところで、ぶつけられた車と同等品を市場で買うことはできません。
それに私は車検を通したばかりです。車検費用だけでも10万円以上かかっているのに。
それが、そもそも原状回復と言えるのでしょうか?

 

車両の時価額を支払ったら、それで正しく弁償したことになるという法曹会の人達の考えはどうかしています。
そういうことがまかり通って、もらい事故で、泣き寝入りしている人達がたくさんいるんだと思います。
「ぶつけられ損」ということをたまに耳にしますが、そういうことだったのです。

 

なぜ、対物超過修理特約が使えない?

正直、10対0であってもの相手方の損保会社の担当者を相手にするのは、たいへんです。
相手の担当者はプロですし、業界の常識?を言って丸め込もうとします。
「もらい事故」の示談交渉は、弁護士などでないとできないというのも問題です。
自分の損保会社の担当者でなんでダメなのでしょう。

 

ぶつけた側のX損保会社との電話のやりとりです。(金額は微妙に違います。)

 

私 :修理代80万円だから、50万円の対物超過修理特約が使えますよね?
Ⅹ :いいえ、20万円+50万円で、70万円を越えているので、適用できません。だから、20万円になります。
私 :えっ他の損保会社に聞いたところ、特約は70万円を超えても、10万円を自腹払う事になるって言いましたよ。
Ⅹ :他所の保険会社とは違い、うちはうちのルールでやっているので、そうはなりません。
私 :修理見積もりって、高めに出すものでしょう。だから、実際はそんなにかからないかもしれないですので、見積書を出し直してもらいます。
Ⅹ :いったん見積もり書を見てしまった今となってはもうダメです。それに安く修理したら、それはお客様の安全のためにとって良くないです。
  (あなたの保険会社が修理代出さないから怒っているのに、お客様の安全のためにってどの口が言っているんでしょう。)

 

Ⅹの上司に変わってももらい、
私 :だったら、別の修理会社に頼んで新たに見積書出してもらって70万円以内だったらいいんですかね?
X 上司 :いいです。

 

その後、修理見積もりしている自動車会社に電話かけ、別の会社に修理を依頼する旨を伝えますが、当たり前ですが良い返事はもらえず、中古部品で見積書を出すと言われました。
「でも、X社があとから出した見積書を認めないと言っていましたので、受け取るかわかりませんよ。」と伝えました。

 

片方で、X社のルールというのが、本当なのだろうかという不信が生まれ、Xの全国本部に電話を翌日電話することにしました。

 

実はウソだった。対物超過特約が使えないルール

X社の全国の本部に電話する前に、チューリッヒ自動車保険に電話をして対物超過特約が使えない場合について聞いてみました。
チューリッヒさんが言うには、あくまで、車の時価額+対物超過特約50万円が保険会社が出せる金額の上限であって、それを越えても適用しないということはないということでした。

 

同じことをXの全国本部に電話したら、30分ぐらいもめました。

 

私 :交渉相手のXの事業所が、X社の独自のルールがあるというのですが、そういうルールがありますか?
X本部 :個別案件には応えられません。
私 :定款というか、約款に対物超過特約が使えないルールが書いてあるかを聞いているんです。
X本部 :お住まいのX社でお尋ねになってください。
私 :その支部のX社が言うことが信用できないから、今電話しているのでしょう。
X :約款には、修理金額が多額だから、対物超過特約が適用できないことは書いてありません。
私: わかりました。

 

そんな修理費用が、車の時価額+対物超過特約50万円を越えるから対物超過特約が使えないというのはウソでした。

 

ついでに、日弁連の無料交通事故相談センターにも相談しました。具体的には、地元の弁護士に聞いてもらったが、良いけれどといわれました。いまから、弁護士に相談を頼むと、30分で5,000円とられるとのことで、今の所保留しました。

 

さて、そのウソはどこで生まれたのか、Xの県本部にも電話しました。Xの県本部で聞けばそもそも良かったのかもしれません。
Xの県本部がマチガッタ指導をしているかもしれないと思いましたが、そういう感じではありませんでした。

 

交渉の極意を思い出しました。末端の担当者で揉めたら、その上。その上で揉めたら、その上と交渉しないといけないという交渉の原則です。

 

絶対謝らない担当者の上司

しばらくして、X社の担当者の上司から電話がかかってきました。
「修理をする方向で、自動車工場で話を進めています」と来ました。(また自分のウソにこだわって、70万円以内の見積もりを出させようとしています。あるいは、まだ被害者が自己負担金がでるものには、対物超過特約が使えないと思い込んでいるかもしれない。)

 

私 :昨日は、対物超過特約50万円は出ないと言われましたが、出るんですね。
X :はい。出ます。でも、昨日は出ないとは申していません。場合や流れによっては、出ないと申し上げただけで。
私 :昨日言ったのは間違いでした。すみません。と言えば、それで納まるんですよ。なんでそれが言えないんですか?
X :お客様のとらえ方の違いでございまして。
私 :わざわざ、修理会社を変える話をしたんですよね。後からでてくる安い見積書などインチキみたいな言い方をされているんですよ。
X :いやいやそんなことは。もし、担当者が言ったのなら申し訳ありません。

 

たいへん、らちあかん会話が続きましたが、電話のやり取りは録音もしてないし、証拠もないです。
怒りを爆発させた自分が虚しくなってきました。
この人は、のらりくらりして、今まで損保業界を生きてきたのです。
驚きです。
たいへん疲れました─。

 

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